フラワーエッセンス短編小説「ミムラス物語 ~勇気の先へ~」

目次

はじめに

バッチフラワーレメディの特性を知ることは、自分の感情を知る上でも大切なことになります。

ゆえにレメディーの特性を把握することに難しさを感じる方も多くいらっしゃると思います。

その1つの理由に、レメディーに該当する人物が思い浮かばない時となります。

自分自身、または身近にそういうレメディーに当てはまる人物がいるとレメディーと人が一致してとても把握しやすくなるものです。

今回、レメディーの特性をもった人物にてオリジナルのフラワーエッセンス短編小説を作りました。
理解の参考にそして楽しんでいただけれたら幸いです。

主人公は、「ミムラス」の特性をもった少女となります。

彼女がどういう悩みを持ってそして受け止めていくのでしょうか。

ぜひ、楽しみながら参考にしていただければと思います。

フラワーエッセンス短編小説「ミムラス物語 ~勇気の先へ~」

日常

「モンチ、おはよう!」

クラスメイトの友人が元気に私を呼んだ。
その後は、昨日YouTubeは何が面白かったとか、体重が増えたとか、宿題忘れたとか、いつもの何気ない会話が続いた。

地元の中学校までは歩いて12分くらい。こうやって歩いての通学が私の日常だ。
ちなみに私はのあだ名は「モンチ」。
理由は、モンチッチに似てるから。


このあだ名とは、小学校の頃からの長い付き合いである。
最初は、嫌だった。
だから、髪を伸ばしてみたりしてみたけど、絶望的に似合わなく、モンチのまま行くか似合わないけどロングにするか10代究極の選択を迫られたが、私はモンチを選んだ。

理由は、本名だ。
私の名前は、祐希(ゆうき)。
この名前が男っぽくてあまり好きじゃなかった。
だから、まだモンチのほうがいいかなっと思い、10代究極の選択は、あっけなく私の中でモンチが勝ったのである。

3回のクラス替えで同級生の名前と顔もだいたい把握している。ほとんどが喋ったことないけどね。

人と話すのが苦手な私にとって、友達100人出来るかなという歌詞はまるで呪いの歌のように今も頭にこだましている。

今だって、こうやって友人ができているのも奇跡なくらいなのに。
まぁ来年は卒業だしみんなバラバラになるからいいけどね。

いつものように授業は過ぎ、先生から指名をされる度に緊張と不安が駆け巡っていた。
不安で顔が青くなっているのがわかる。そして喋る時には緊張と恥ずかしさで顔が赤くなっているのがわかる。

私は、顔面信号機。
ただ、青も赤も止まれのサインだからその時、私には関わらないで欲しい。

そして、3時間目の授業が終わった。

出会い

「祐希さん、おはよう。」

教室で私に本名で声をかけてくる、聞き覚えのあるような声だ。
人見知りな私は同様しながら返事をした。

「あ、おはよう。」
私は、一瞬目を合わせたけど、緊張と不安ですぐに目を逸らして挨拶をした。

彼女の名前は、優香。
勉強もスポーツも出来る優等生。しかも可愛いいときたもんだ。
アニメなら絶対に登場するキャラをそのまま現実化したような女の子。
なぜ私に声をかけたのか、頭の中でまた不安と緊張が混ざり合い動揺を生み出していた。

「祐希さんとは、初めて一緒のクラスになったよね。よろしくね。」
笑顔が眩しすぎて、私のモンチッチ顔がさらに赤くなるのがわかる。

「よ、よろしく」
精一杯の返事。私の顔は、赤信号。

そして彼女は、ひらりと肩まで伸びた髪と少し短めのスカートを靡(なび)かせて自分の席に戻って行った。
私、絶対に無愛想な人って思われただろうな。
初めての人と話した後は、決まって自己反省会が始まる。

今度会った時は、どうやって話そうか?上手く話せるのか?今から不安の波が押し寄せてくるのである。
しかし、なぜわざわざ、挨拶のためだけにきてくれたんだろう?

なぜ、私のことを知っていたのだろうか。

まだ心臓がドキドキしているけど、正直嬉しかった。

人が苦手だけど、声をかけてもらえるとやっぱ嬉しいもんだな。

中学になると強制的に部活に入る必要がある。

運動神経には自信がなく、人と喋るのが苦手な私は、吹奏楽部に入った。

年に数回の発表会は人前で演奏をするので毎回緊張のあまり心臓が飛び出そうになるが、それでも1人じゃなくて後ろに紛れていられるのでましではあった。

開く心

「祐希さん、お疲れ!」
部活帰りに私を呼ぶ声。

もう、わかる。優香さんだ。
「あ、お疲れ」

「祐希さんって吹奏楽部だよね?すごいなー、楽器ができるって!私、リコーダーぐらいしかできないもん。」
優しそうな和かな表情で話す。

「いや、そんな、、、。」

「去年の発表会みたよ!他の子は、みんな話したことあったけど祐希さんだけ話したことなかったら気になってみてたんだ。」

「え!?」
私はトロンボーン奏者。吹奏学の配置だと後ろの方。
だから、存在感消してたのにバレてたのか。

「もっと、祐希さんの音、聴いてみたかったなー。みんなの音と混じって私には聴こえなかったから。」

「いや、私、あんまり上手じゃないし。」
「あ、あの、優香さんはすごいよね。走るの早いし、いつも1位だもんね。」

「ありがとう!走っている時が一番好きかな。自分らしく思えるし。」

「そうなんだ。」

「ねぇ、同じクラスになったし、私もあだ名で呼んでいい?」
私は、うんと答えた。

優香さんは、嬉しそうにして

「やったー!じゃぁ、私のことは優香って呼んでね。バイバイ、また明日ね、モンチ!」
と言ってお別れした。

優香とは不思議と仲良くなれた。

それからお互いの部活のこと、好きなYouTuber、音楽、スイーツなどの話をよくした。
2学期になって私がもっとも嫌いな時間がやってきた。
それは、音楽の授業で1人ずつ歌うテストである。
課題曲をサビまで歌わねばならず、まるで拷問のような時間だ。
どうにか休めないか方法を考えた。

テスト勉強以上に考えたが、平均IQの私には何も名案は浮かばなかった。
それに吹奏楽ということで歌も上手だろうと無言のプレッシャーも感じて辛い。
私は、全世界中の人に言いたい、楽器と歌は別物だと。

歌のテストは、始まり一人一人先生のピアノの前に立って歌う。

歌い終わるごとに、拍手が起こり上手い子の後は、歓声まで起こる。

そうこうしている間に優香の番が来た。
ぴょんぴょんとうさぎのように軽やかにピアノ前まで行き、深呼吸をした。

その瞬間、教室が静けさで鳴った。


音楽をやっている私はわかる。
上手い人は、やる前から空気が変わることを。

歌い出した彼女の歌声は、教室を包みピアノの音と綺麗に調和した。
グラウンドを走るように優香の声が軽やかに教室を駆け巡った。
歌い終わったあと、一瞬の静寂。

そして、先生の「はい、お疲れ様。さすがね、優香さん。」

の声で優香の

「緊張したー!」

の事が終了の合図となり、クラスの拍手喝采いが始まった。

神様はどうして、こうも才能を偏って与えるのか憎らしくなった。

でも、優香の笑顔を見るとそんなことも消し飛ぶくらいに素直に喜べた。

そして、私。

名前が呼ばれると、足の裏から緊張が伝わる。
顔は、青信号。ただし、進むな。

手には汗が滲み、声を出す前から声がでないのわかる。

お願い!今この時に、災害が起きて授業を止めて!
そんな自分勝手な思いも虚しく、先生の

「はい、じゃぁ始めますよ」

の声が聞こえた。

ピアノが鳴ると、想像以上の音の大きさにさらに不安が強くなった。
頭の中が真っ白になる。
Aメロが始まる。

歌い出し、なんとか声は出たけど、たぶん、他の生徒には私の声はピアノにかき消されて聴こえないだろう。
私の今までの人生のように周りに掻き消せれて存在が薄いように。

どうにか声をだそうとするも、そう思うと余計に出なくなる。みんなの反応が怖い、背中に視線がピリピリと感じる。

声が、声が、もう出ない。

記憶が蘇る。

3日前私は、優香に思い切って聞いた事があったんだった。
「ねぇ、優香。教えて欲しいことがあるんだけど。」

「何?」
優香は、キョトンした表情で私を見つめた。

「今度、歌のテストじゃん。私、人前で歌うなんて出来なくて休みたい気分だよ。優香はさぁ緊張とかしないの?」

「するよ。人間だもん。」

「そっか。」

「でもね、緊張することを緊張していると思えば、少しは楽になるよ。」

「え?」

「あ、私緊張しているんだなと。私のこと、みんなが見ているんだなと。客観的に見てみるの。
 そうするとね。グラウンドで私が、私を見ている感じになって他のことはあまり気にならなくなるんだ。そして、なんかこう私、今生きてる!感じになってね、、、」

「はぁー。。。」

「あ、ごめん。うまく説明できなくて。モンチは大丈夫だよ!緊張したときこそ「今」を大事にね!」
優香が笑顔でそう言った。

そんなこと優香は、言っていたな。

あー私、緊張してるだ、みんなの視線気にしてるんだ。

あー、いつもそうだったな。いろんなことに不安を感じてなるべく自分の存在を出さないようにしてたな。

優香は、やっぱ凄いな、この状況であんなに歌たんだから。

優香は、、、、

その時、グランドピアノに反射して優香の姿が目に入った。

優香が、手を合わせて私の歌を真剣に聴いてくれている。

ピリピリした視線だけじゃない、私を想う優しい視線もあるんだ。

なのに私は、、、

「「今」を大事にね。」
優香の言葉が、頭を走る。

あー、そうか、どうせダメなら開き直ってこの「今」を楽しめばいいか。
緊張している自分、みんなの視線、優香の視線、ピアノの音、午後の日差し、教室の木の匂い、エアコンの風。
全て今、感じられた気がした。

その瞬間、声が出た。
どこまでも遠く響く、心から出た大きな声が。

これが私の声。
歌えてるんだ。
サビの後半に差し掛かっていたのですぐに歌は終わり、テストは終了した。

優香の6割くらいの拍手が教室に響いている。

恥ずかしくて怖くて優香の顔は見れなかった。

けど視線でこっちをみていたのはわかる。

今は、安堵感が浸っていた。
いや、浸っていたかった。

ありがとう

下校は今日も優香と一緒だった。

優香が私に声をかける
「頑張ったね!モンチ!ちゃんと歌えたじゃん!」

「う、うん。本当に最後の少しだけどね。」

「いやー、びっくりしたよ急に別人みたいに声が大きくなって。壊れたスピーカーかと思ったよ!」

「ちょっと、それ、ヒドイ、優香!」

優香は、奥様のように左手で口を押さえて右手を手のひらを何回かお辞儀させてお茶目に言った。
「冗談、冗談!」

私は、伝えるべきことを優香に言いたかった。
「優香のアドバイス、ありがとう。おかげで最後思いっきり歌えたよ。」

するとさっきまでお茶目にしていた表情がスッと消えた。
「モンチの声は、外に出たがってたんだよ。なんか、私それが伝わってきてさぁ。。。あ、ごめん思い出したらまた」
そう言って、優香は静かに涙を流した。

あの時、私が歌い終わった時。私の視界の外で優香は、泣いていた。後から、それを友人が教えてくれた。

どうしてそこまで私を想ってくれたのかは、わからない。
ただ、その気持ちに対して私は、どういう言葉で歌えたら良いのかわからなかった。

だから、私は「ありがとう。」と心の中ででもう1回伝えた。

サイン

その後、卒業を迎え、優香とは別々の高校に行くことになった。

私は、滑り止めの高校に入学し早、1年。
高校2年になったわたしは、相変わらずショートヘアーのままだった。

「ねぇ、モンチ〜!」

あだ名も継続。クラウメイトの友人の呼ぶ声がする。
私は、一生モンチかもしれない。

「ねぇ、モンチ!今度ライブいつ?絶対観に行くから決まったら教えてね!私の好きな曲セットリストに絶対入れてよね!」

「友人とはいえ、そのご要望にはファンクラブに入会してもらわないとなー。」

「モンチ、ちゃっかりしてるー!じゃぁねー!」
友人は、私を追い越して元気に走って行った。

私は、今軽音部で3人ユニットのボーカル。
バンド名は、ザ・エレクトリックモンチーズ

私が歌っている時の表情が「くしゃっ」となると余計にモンチッチになるらしい。
そして、ボーカルがモンチッチ似って可愛いよねっていうバンドメンバーの言葉でバンド名が決まった。

バイトで黄色いストラトキャスターのエレキギターを買った。
これで、私の顔とギターで信号機完成。

今は、応援してくれる仲間もいる。
少しだけどファンもいる。

今だって、人が苦手。人前は緊張する。
でも、そこにも私がいる。

怖さは自分の中。
その中に自分がいる。
まだ見ぬ自分。

その私が、外に出ようとしているのが分かる。
何故なら、生きているって感じるから。

優香がそれ教えれくれた。
きっと同じような気持ちで彼女は、走っていたんだと思う。
自分を出していたんだと思う。

だから私は、もう止まらない。
だから私は、今日も歌う。
だから私は、進む。
勇気の先に。

私の信号は、全て進めのサインに変わった。

おわり

「勇気の先へ 」(フラワーエッセンス短編小説『ミムラス物語 ~勇気の先へ~』主題歌)

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