「わかっているけど、できない」
その心のジレンマから抜け出すためのヒント
1. なぜ、私たちは動けなくなるのか?
不眠やうつに良いとされる対策はたくさんあります。しかし、当事者にとっては「それができないから困っている」というのが本音。これは「キャッチ22」とも呼ばれる、抜け出しにくい悪循環です。
不眠・うつ
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気力・体力が奪われる
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対策が実行できない
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悪循環へ
2. 解決の鍵は「闘わない」こと
辛い思考や感情を「なくそう」と闘うほど、エネルギーは奪われていきます。アクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)は、発想を転換し、「あるがままに受け入れ、大切なことのために行動する」ことを目指します。
従来の考え方
🥊
ネガティブな感情や思考を排除・修正しようと闘う。
ACTの考え方
🤝
感情や思考はそのままに、人生を豊かにする行動を選ぶ。
3. 心をしなやかにする6つの道具
ACTでは「心理的柔軟性」を高めることを目指します。そのために、互いに関連し合う6つのスキルを使います。
① アクセプタンス: 辛い感情に居場所をあたえる。
② 脱フュージョン: 思考は「ただの思考」と距離をとる。
③ 今、この瞬間: 意識を「今」に向け、五感で感じる。
④ 観察する自己: 感情や思考に揺らがない自分に気づく。
⑤ 価値: 人生で「どうありたいか」を見つける。
⑥ コミットメント: 価値に沿って小さな一歩を踏み出す。
4. なぜ、これが突破口になるのか?
ACTは、エネルギーが必要な「行動」から始めません。まず、心の中だけで実践できることから始め、無駄なエネルギーの消耗を減らします。それによって、本当に大切なことに向かう余地が生まれるのです。
1
闘いをやめる
アクセプタンスと脱フュージョンで、心の中の戦いを止め、エネルギーの消耗を減らす。
2
心の余地が生まれる
エネルギーが回復し、「自分にとって大切なことは何か?(価値)」を考える余裕ができる。
3
価値に向かう一歩
価値に沿って、無理のない範囲で「小さな行動(コミットメント)」を起こせるようになる。